『キャプテン心得』キャプテンとしての心得

マリンの世界とは日常と違う部分が多数有り、知らないこと、解らないことが沢山ある。
しかしキャプテンたる者、何か有ってからでは知らなかったでは済まされない。
例えビギナーキャプテンであってもその責任は重大なのです。
楽しい遊びをつまらない思い出にしたいためにも。
ベテランキャプテンも、もう一度再読して頂き身を引き締めて頂きたい。
何か有ってから責任を取るのはキャプテンなのだから。
海のルールは陸上とは違うのだということを。

1.安全第一

ボーティングは全てを安全第一に考えるべきだ。
ボートの安全はあなた自身の安全にも繋がる。
あなたの判断に迷いが出たら、より安全な方向をしっかり選ぼう。

2.計画は慎重に

大型艇であっても広い海にとっては小さなもの。
漫然と走ったり、思いつきのクルージングなどは事故の元。
たとえ日帰りの短いクルージングであっても、目的地までのコース、距離、時間、目標物、途中の休憩場所や避難場所、影響を与えそうな海潮流、潮の干満、燃料の消費量等々をあらかじめ充分に調べ、しっかりした航海計画を立てておこう。
最近のキャプテンの多くはGPSプロッタ等の航海計器を頼りすぎる感が有るが、
それらの機器が故障しても航海を続けられる位チャートを頭に入れる必要がある。
また複数艇で行動すればより安心感は高まる。ボーティングは仲間を作ることで更に楽しみが広がる。

3.天気に臆病であれ

せっかくの今日に決めていたのだから・・・・・と、なにがなんでも強行するのは危険だしゲストも楽しくない。
ボーティング予定日の一週間程前から天気予報をチェックし、高気圧、低気圧の消長、移動等、周期的な天気の移り変わりを充分に検討し、出発の朝に空模様がおかしいときはボーティングを中止したり、より安全な予定に変更する勇気を持たなくてはならない。

4.点検は入念に

ボーティングに出かける前のキャプテンは、ボートとエンジンと付属品、燃料、安全備品、積込品、予備の食料、乗員の健康状態など全てにわたって充分にチェックし、安全を確認し保証するドクターでありたいもの。
判断はあくまで最新に、この程度ならば、とその甘さの積み重ねが事故に繋がる。

5.救急箱必携

海上に救急車は来ない。乗船者の怪我、発病は全て船長であるあなたが面倒を見なければならない。
応急処置の出来る救急箱は必携。
その他最適の病院を手配してくれる救急センターの電話番号くらいボートに常備した電話帳に書き記しておくことも必要。
ちなみに名古屋は052−263−1133である。

6.船のエンジンは壊れる

最近の車においては購入から売却まで一度もボンネットを開けてエンジンを見たことがないと言う人もいることだろう。
ましてや車は「どうやって走る?」と聞くと「キーで走る。」と答える人まで居る位だ。
車ならそれでも良いかもしれない。しかし船のエンジンはたとえ購入後1年でも壊れるのである。
そのためにベルト、インペラー、プラグ、予備のオイル、工具等々とエンジンに関する最低限の知識をキャプテンは備えておかなくてはならない。
もちろん壊れる部分はエンジンだけではないが。
普段からエンジンを見回す事によって外見上の異常は直ぐに発見できる。
またエンジン音、排気の色や臭いもエンジンの状態を把握する大切な要素である。
海難救助の原因で最も多いのは機関故障である。

7.定員厳守

ボートには定員が定められ、救命胴衣等も定員数が揃えられている筈だ。
安全なボーティングに人情は禁物、定員超過は絶対にやめよう。
ボートの積み荷で一番重く、動きやすいのは人間達。乗船者が走行中むやみやたらに動くことがボートの安定性、その人自身の安全にも大きく関わることをキャプテンは説明しなければならない。
初めて乗る人には説明しないとわからないものだ。

8.ライフジャケットは命綱

乗艇時にキャプテンは乗船者に救命胴衣の着用を推奨する。
最低でも乗船メンバーに救命胴衣の保管場所の説明をする。
特に子供には泣こうがわめこうが絶対に体のサイズにあったライフジャケットを着させる。

9.通信手段の確保

無線の搭載、最低でも携帯電話ぐらいの通信手段を確保する。
大声を出しても走っている他の船舶には聞こえていない。
INBCでは価格の安さ、無線免許・開局申請の手軽さ、充分な交信距離、東海地区のINBCメンバーの搭載率からアマチュア4級以上の50MHZ帯無線を推奨しております。
(INBC各局は51.900MHz)
またマリンVHF無線も有効な通信手段である。今後の主流になるであろう無線である。
電話は相手の電話番号が解らないとかけられないし、電波圏外になる場合もある。

10.予定は連絡

天候も点検も準備万端。もやい綱をとく前に、家族と、マリーナならハーバーマスター等保管又は陸の責任者にキャプテン名、船名、乗船人数、連絡先、航海計画、帰港予定時間等々、なるべく書面で連絡しておこう。
出発後にその予定を大幅に変更した場合は、必ずマリーナ等に連絡をする。

11.安全のための計画変更はOK

ここからあそこまで行く、はあくまで計画上のこと。全ての状況が最良で有ればこそである。
出港しても、天候の急変があったり、目的地の上空に暗雲が立ちこめていたり、視界が悪かったり、どことなくエンジンが不調だったり、乗組員の体調が悪くなったとき等々、航海計画をよりり安全なものに変更することは大いに結構なことである。
その結果帰港時間が変更される場合はマリーナに連絡も。

12.海上ルールを守ろう

ボートを運行するには小型船舶操縦士の免許が必要。海上衝突予防法や港則法、自船の航行区域等に決められた海上の規則を遵守する。
また、あなたのボートに権利があっても、あなたが避けて済む様なときは避けることも重要。

13.迷惑行為厳禁

他のボートやヨット、漁船等の船舶に危険を与えたり、危険を感じさせる様な行動は慎む。
海水浴場や釣りをしている船舶の付近は徐行、港内スロー、狭水路スロー等、自船の前方や後方のひき波にも充分気を使おう。
また密漁にあたる行為は絶対にやめよう。あなた自身は年にたった一回の行為でも、そこを漁場に持つ人にとっては、入れ替わり立ち替わり来る『ボート・ヨットの連中』なのである。今現在受け入れてくれる漁港や島で今後も遊べる環境を守る為には、絶対に守らなければならないルールなのである。

14.ボーティング公害厳禁

ビルジやゴミ、たばこの吸い殻、空き缶などで海を汚すのはやめよう。
マリーナで船を洗うのは良いが、洗剤を使えば船は綺麗になっても海は汚れるのである。
マリーナバース、港内、湖内等でバキューム式でないマリントイレ使用も同様である。
だいたい湾奥にて海が汚いと文句を言う人に限ってゴミを捨てる。汚いから捨てて良いわけではない!
一人一人のそうした努力が、まだまだきれいな海を保ち、あなたのボーティングをより素晴らしいものにすることでしょう。
こんなに楽しい遊びを子供達の世代にもやらせてあげたい。

15.整備は次のボーティングの始まり

ボーティングは終わった。早く家路につきたいのは解るが、デッキやハルを洗い、エンジンをチェックする。
一日を楽しませて頂いたボートをかわいがろう。
ボートは生き物です。
愛情を持ち手間をかけてやればきっと次回もまた楽しいボーティングを味あわせてくれることでしょう。
整備は次のボーティングの始まりである。

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